常石の防災について考える

ある高学年のクラスの子どもたちが、朝の新聞サークルで、こんな問題が書かれた記事を見つけました。

『地震発生!
テレビが「高さ10mの津波が、早ければ10分後に来る」と伝えました。
目の前に海がある2階建ての小学校にいて、各階は高さ4m。
校舎の立つ地面は海面より2m高く、屋上に倉庫があります。
一方、1.2㎞内陸に高台があります。
ただし、子どもの足だと60m進むのに1分かかります。「屋上」か「高台の中学校」か。あなたはどちらに避難しますか。』(毎日小学生新聞2月10日号より)


子どもたちは、実際にこの問題を考えてみることにしました。
校舎の高さは、4m×2階=8mで、かさ上げが2mあるので、8m+2m=10mと考えます。
1.2㎞は、mに直すと1200m。
1分間に60mしか進めないので、1200m÷60m=20分。
中学校に避難するまでに、津波に巻き込まれる可能性があるので、新聞の問題では、小学校の屋上に避難をする方がよいと考えました。

では、自分たちが通う常石小学校は、どうなのだろうという話になりました。
普段の避難訓練では、高台の公民館まで5~10分かけて歩いて避難することになっていますが、
実際に地震が起こった場合、もしかすると避難途中で津波が来てしまうかもしれません。

子どもたちは、公民館に避難するより、校舎の屋上に避難するほうが安全ではないかと仮説を立てました。
このことを確かめるには、常石小学校の校舎の高さ、津波の高さ、津波が来るまでの時間、避難場所までの距離と時間、常石小学校の海抜を測らなくてはなりません。
実際に調べてみることにしました。

学校の高さを予想するために、教室の床から天井までを巻尺で測り、約3mでした。
常石小学校は4階建てなので、3m×4階=約12mと考えました。


 

津波の高さと到達時間は、福山市のホームページにのっているハザードマップで調べました。
最悪の場合に備え、さまざまな想定から、津波の高さは5m、津波到達までの時間は地震から3時間後としました。
学校からローラー距離計を使って、避難場所までの距離を測りました。
距離は708.6mと分かり、歩いた時間は6年生の足で12分40秒でした。
常石小学校の海抜は、インターネットで調べて6mでした。


調べて考えた結果、常石小学校に地震発生から津波が到達するまで3時間と余裕があり、避難場所まで歩いて避難してもおよそ13分という結果から、学校の屋上ではなく、避難場所まで避難する方がよいと考えました。

新聞の記事をきっかけに、考え、実際に行動したことで、防災への意識が高まりました。
さらに教科の学習も実生活に生かされ、子どもたちは大満足のようでした。

 

 


 

2021年03月15日