自ら考える

常石ともに学園には,こんな「やくそく」があります。

 


 みんなが安心して過ごせる学校にするために
 みんなが成長できる学校にするために
 自分と相手を大切にした行動をしよう。

 

これは,新型コロナウイルス感染症への緊急事態宣言が出されていた2020年3月に卒業した6年生が,
半年間かけて考えてくれたものでした。
学校が再開された2020年4月の始業式に,この「やくそく」にこめた思いについて伝えました。

 


カラフルな円は,一人一人の心を表しています。
この学校にいるみんな,様々な願いや思いを持っています。
もしかしたら,不安な思いや,悲しい思いを抱えている人もいるかもしれません。
ここにいるどんな人も,一人一人が大切な一人です。大切でない人なんて,一人もいません。
この学校の全員(子どもも大人も)が,安心して成長できる学校にするために,
一人一人が考え,知恵を出し合って,行動していこうという思いが込められています。 

 

今年6月6日。児童会の役員が,「第1回 全校ミーティング」を企画しました。
議題は,「ろうかで安全にすごすには」と,「クロームブックの使い方について」です。

 

これらのことは,課題意識を持って,先生たちが何度も伝えてきていたことでした。
特に,ろうかについては,以前,走っている児童が先生に(私に)
思いっきりぶつかってきたことがありました。
ぶつかった相手が松葉杖を使っている児童だったら,おなかに赤ちゃんのいる先生だったら,
どうなっていただろうと思うと恐ろしくて,機会を見つけては
「避難訓練の時だけじゃなく,普段からろうかは歩こう」と伝えていました。
しかし,伝えても,伝えても,ろうかを走る人が減りません。
走っている人に対して「先生に言うよ!」と言っている児童もいます。
どうしたものかと思っていたところでした。

 

第1回全校ミーティングが始まりました。

 

じゃんけん列車で,アイスブレーキングした後,
児童会役員が「ろうかで安全にすごすために」という議題を提示しました。

 

すると,
    「ろうかを走らなければいいじゃん」
    「理由があってろうかを走っている人もいるから,だれかがチェックして理由を聞かないと」
    「ろうかを歩く看板をつくるといい」
    「ポスターを作ってはったら?」
    「ろうかを一週間走らなかったらシールがもらえるといいな」
    「ろうかを走った人はお父さんやお母さんに言おう」
    「ろうかを走ったら休憩時間に外をめちゃくちゃ走る!」
    「走ったら罰ゲームをする」
    「走った人の名前をはりだされる」
    「走ったら放送で言われる」  
等の考えが出てきました。

 

児童会の「どうやったら,ろうかを歩く人が増えると思いますか?」という投げかけに対して,
      「放送!」
      「罰ゲーム!」
      「先生が決めてほしい!」
という声が上がります。
その反応を受けて,児童会のメンバーが集まって相談しています。
児童会役員 「罰ってどうなのかな?」
      「罰ゲームとかじゃなくて自分で走らないようにする方法がいいと思うな」
      「走ってけが人が出てからじゃ遅いよ」
      「走る前に歩こうってならないと」
      「そういうぼくらの思いを伝えていこう」

 

そして,代表者が

 

 

児童会役員「ぼくたちが思うに,罰ゲームがあるから気を付けるのじゃなくて, 
      けがをしてからじゃ遅いので,けがをしないように(安全に)という考えを
      自分で持てるような方法がいいと思っています。
      このことについて,各学級で考えてみてください。」

とみんなに返しました。
 児童会「次にクロームブックについてです。最近クロームブックでゲームをしている人がいます。
     皆さんは,何のためにクロームブックが配られているか知っていますか?」

    「勉強のため」
    「キュビナとかするため」

 

 

児童会 「皆さんが言ってくれたように,学習に使うために借りているクロームブックです。
     では,クロームブックでゲームをするのはどうなのでしょう?
     このことを学級で考えてみてください。
     話し合ってクラスの『やくそく』が決まったら,教えてください。
     今日は,皆さんとともに考えることができてよかったです。
     これからも話し合いたいことがあればぼくたちに伝えてください。」

多くの声 「はい!!!」


6月7日。翌日は朝から雨が降っていました。
いつもなら,雨の日は外で遊べないので,ろうかを走る人が多いのですが,
この日は校舎内の景色がいつもと違っていました。
ろうかを歩いている人が,圧倒的に多いのです。
そして,この全校ミーティング以降,走っている人に対して
「危ないよ。走らないで。」という声が聞こえてきます。
まだ,ろうかや階段を走る人もいますが,
「みんなが安心して過ごせるように,みんなが成長できるように,自分で考えて行動する」
ことが目に見える姿として表れてきています。
一人一人が自分で考えたから生まれた変化(文化)です。

大人も子どもも,「自ら考える」ことを大切にしていきたいと考えています。


2023年07月04日