常石ともに学園第一回運動会~初めの一歩~

先日,第一回常石ともに学園運動会を開催しました。
5月からスタートしたプロジェクト,子どもたち,教職員,保護者,地域の方々,全員が共同体となることをめざして活動してきました。
しかし,子どもたちと教職員が自分たちの手で一から運動会をつくりあげるのは決して簡単な道ではありませんでした。
特に難しかったと感じたことは,「『共同体』として動く」ことと「見通しを持つ」ことです。

 

 

今回,全6チームの縦割りグループに分かれ,各チームが競技をつくりあげていきました。
20人以上での話し合いで意見をまとめていくこと,その中で一人一人が自分事として,考えて動くことは難しく,なかなか前に進まないことも多かったです。
いつも話し合いの中心にいて,一人一人の意見を大切にしようとする団長たちが,
運動会プロジェクトの後に「あまりうまく話し合いができんかった。どうしたら良い?」と
相談しに来ることもありました。

しかし,そういった壁にぶつかったときこそ考えるチャンスでもあります。
団長ミーティングや職員ミーティングで意見を出し合うことで,自分たちなりの答えを出していきました。
話し合いの内容によって高学年が先に話し合い,いくつか候補を出した上で低学年に提案していくことと全員で話し合いをすることを分けたり,チーム内で制作するグループと話し合いをするグループに分かれて進めたりと,グループで納得する方法を模索しました。
それらが最善だったかは分かりませんが,一人一人の得意を生かそうとしたり,大事なことを決めるときに全員の了承を得ようと考えたりする団長たちの意識のもとには『共同体』があるのだと感じました。
運動会後の子どもたちのふりかえりに「話し合いを進めるのは,大変だったけど,いや大変だったからこそ,深まった絆があり,本番の成功を喜べたのだと思います。」とありました。

 

 

もう一つは,見通しを持つ難しさです。
ワールドオリエンテーションでは計画を立てることも大切にしていますが,運動会を子どもたちとともに一からつくることは,子どもたちだけでなく,教職員にもほとんど経験のないことです。
計画通りに進まないことの方が多く,次の時間のことを考えるので精いっぱい。
チームによって競技をつくりあげるまでにかかる時間も違い,時間をどれだけ設定するかも悩みました。
しかし,そんな中でも共同体として考え,動く姿が見られました。
それは,競技の準備が早く済んだチームが,時間が足りないチームの制作物を手伝ったり,
全チーム分の入場グッズを作ったりしていたことです。
チームごとの作業が多いため,チームの対抗意識が強くなることも懸念されていましたが,
子どもたちは全員で運動会という場をつくろう,成功させようと考え,動いていました。

運動会後,「負けて悔しいけれど,そんなのどうでもよくなるぐらい楽しかった。」という子どものふりかえりからも,勝ち負けより運動会を成功させたい気持ちの強さが感じられました。



本番までの過程で悩み,考え,いくつもの壁を乗り越えてきたからこそ,当日の子どもたちの姿も,本当に素晴らしかったです。
競技自体の面白さもそうですが,競技の準備や片付けに子どもたちが走る姿,司会進行や実況などをする子どもたちの姿,自分たちで場をつくる,そんな子どもたちの姿には胸をうたれるものがありました。

当日のメッセージボードには,
「競技を考えたチームが準備,片付けをしている姿がとても素敵だと思いました。みんなかっこいいです。」
「ともに学園ならではの温かい運動会!胸アツです!!素敵な運動会ありがとう」
「小学生も大人もみーんなで楽しめる競技の企画すばらしいです!!」
「種目エントリーを自分が決めるというスタイルがすてきと思いました。
参加したいもの,裏方をがんばるものなどなど自分で考えるすてきな経験ですね。」
など,多くのあたたかい言葉が寄せられ,子どもたちにとっても教職員にとっても喜びとなりました。

 

 

今回の経験や学びを日々の生活や他の活動でも生かせるようにしていきたいと思います。
子どもたち,教職員,保護者,地域の方々,全員でつくる運動会,来年度はどんな場になるのか楽しみです。

2022年11月09日