常石パークの水問題~ともに生きることについて考える~ 

「常石パーク」
昨年度から,校区内にある土地を地域の方にお借りして,高学年が『つくる』をテーマにいろいろなつくるに挑戦しています。
昨年度から取り組んでいる「アサギマダラ(蝶)の飛来地をつくる」というプロジェクトに加え,
今年度は,「インスタ映えする美しいひまわり畑をつくる」などのいくつかの新しいプロジェクトが始まりました。

4月6日(火)始業式の日の常石パーク。
昨年から取り組んでいる小屋の土台しかない,草だらけの広場でした。

4月12日(月)
みんなで畑づくり。
6年生は,ここで野菜を育てるようです。

4月19日(月)
アサギマダラ(蝶)です。
常石パークがアサギマダラの楽園となりますように。。


アサギマダラが好む「フジバカマ」の苗(学校で昨年から育ててきました)を植えて,水やりをしました。この水は,まき割り隊というアサギマダラの飛来地をつくっておられる団体の方が,ポリ容器で持ってきてくださっていました。
常石パークには,水源がないので,水は持っていくしかありません。

5月28日(金) 
畑を耕してひまわりの種を植えました。
フジバカマの苗は,約20㎡の畑に植えましたが,ひまわり畑は,約300㎡です。
事前に,先生たちが,何日もかけて草を刈り,耕運機を借りてきて耕してくれていました

 

ここから,本格的に水問題に直面することになりました。

種の発芽の条件は,水,空気,温度です。
空気はたっぷり。
気温も十分高くなっています。
でも,常石パークには,水源がないのです。
5月29日30日は,先生が水を持ってきて,まきました。

週が明けて…

 

朝から,先生たちが水を入れたポリ容器を何個も常石パークまで運びます。
車が入れるところまで行ったら,今度は,台車や手で畑まで水を運び,タンクに移し替えます。
そして,タンクの水をじょうろに移して水やりをする…。
毎朝,そして一日に何度も常石パークに通う先生たちの姿がありました。
次第に,先生たちの疲れが蓄積していく様子が見られます。

そこで…

6月4日(金)恵みの雨が降った朝,教頭先生が子どもたちへ投げかけてみました

雨が好きな人?
子どもたち:雨きらい。ぬれるもん。外で遊べなくなる。
      服が濡れる。濡れて風邪ひいたら腹立つ!

今日この雨が降って,ほっとしている人もいるんだよね。
高学年の先生たちが昨日から雨降るのを期待していたんよね。
先日,高学年の先生たちについていった時の映像を見てもらおうと思います。

子どもたち:笑いながら映像を見ている。

これ20って書いてあるけど,何かわかる?
20Lで,1Lは,1㎏だから,

子どもたち:20㎏

その通り。
20㎏っていったら,みんなの体重の半分ぐらいだよね。
それが何個もある。
台車に乗せて…このオレンジ300Lだから,300㎏を満タンにしようとすると,
20㎏のポリ容器で,何回入れないといけないか計算してみて。
こんなことを晴れた日は毎朝先生たちはしていました。
何回も往復して…この表情…
常石パークでみんなはひまわり植えてるけど,発芽するために必要なものは?

子どもたち:水!日光,空気。愛情!!

常石パークは,貸してくださった方のおばあさんも,水源がないから,昔から水を棒に両方かかえて運んでいらっしゃったそうです。
この常石パークには水がないので,学校から持っていくしかない。
だから,雨が降らなければ,先生方のこんな日々が続くのです。
あの表情を見てると,どこかで限界が来るのではないかなと思うのです。
心配になってみんなに相談しようと思って映像を見てもらいました。
それぞれ感じたことがあると思う。
みんなにも知ってほしかったから(考えてほしかったから)集まってもらいました。

子どもたち:もう一回見せて!!(子どもたちの映像を見る目が変わっていました。)

 

6月7日(月)の朝
ペットボトルに水を入れて常石パークに向かう子どもたちと先生たちの姿がありました。

6月8日(火)6月9日(水)
人数は減っていますが,朝登校した子供たちが,常石パークに向かっています。

子どもたちの学びのために,試行錯誤しながら,いろいろなことにチャレンジしています。
この常石パークも,『つくる』というテーマとともに,
『ともに生きる』というテーマも意識しています。
自然と共に生きる。
土と共に生きる。
私たちが当たり前のように食べている作物も,自然の恵みを受けるとともに,自然に働きかけながら,知恵を働かせてつくってきているものです。
でも,それは,ただ消費しているだけでは見えてこない。
子どもたちが,自ら自然とかかわることで,考えるきっかけになってほしい。という願いで,取組んでいるのが「常石パーク」です。

今回の水問題のように,困難に出会ったときこそ,ともに生きる共同体として知恵を働かせるチャンスです。
子どもたちとともに,「みんなでいいものを作り上げようとしている共同体」「本物の共同体」になっていきたいと思っています。
「共に生きるとは」大人も子どもも考え続けています。


2021年06月15日