ぶどう作りがさかんな山南

さかんなわけ

日当たりがよく,水はけもよい山のしゃ面をうまく使って,ぶどうを作っています。

ぶどうの里

ぶどう作りが始まったのは,1952年(昭和27年)ごろからです。それまでは,い草や葉タバコなどを作っていました。
1957年(昭和32年)から,山林をきりひらいてブルドーザーを使って階段のようにし,約30ヘクタールのぶどう団地を作り,「マスカットベリーA」を植えました。その後,水をやるためのスプリンクラーをととのえたり,共同で薬をまいたりして,ぶどう作りがさかんになりました。昭和38年に「デラウェア」をジベレリンしょりし,種なしぶどうができるようになってから,「マスカットベリーA」でも種なしにできないか研究を始め,1970年(昭和45年)に,日本ではじめて,種なしぶどう「ニューベリーA」を作ることにせいこうし,1972年(昭和47年)から「沼隈ぶどう」の名で,出荷されるようになりました。昭和57年ごろには,「マスカットベリーA」ほとんどが「ニューベリーA」に変わってさいばいされるようになりました。また,昭和53年には,「ピオーネ」も種なしさいばいできるようになり,沼隈の「種なしピオーネ」はとてもひょうばんになっています。
1989年(平成1年)からは,山の急なしゃ面を平らにする工事が始まり,ぶどう園を長方形に整理したり,水をやるかんがいせつびなどをととのえたりして,1999年(平成11年)に48ヘクタールの「有国樹園地」が完成しました。この工事によって,急なしゃ面でのきつい仕事がなくなり,きかいを使った作業をすることでらくになりました。
最近では,「ニューベリーA」のほかに,「ピオーネ」「藤みのり」「安芸クイーン」「桃太郎」「甘太郎」「ロザリオビアンコ」などをさいばいしています。

ぶどう作りの1年
ハウス ろ地
1月 たがやす えだをせんていする
2月 ハウスのビニルをかける たがやす
3月 しょうどくをする
4月 ジベレリンにつける(1回目) ビニルをかける
5月 ジベレリンにつける(2回目)
ふさの形をととのえる
しょうどくをする
6月 ふくろをかける ジベレリンにつける(1回目)
ジベレリンにつける(2回目)
7月 取り入れ,しゅっか ふさの形をととのえる
しょうどくをする
8月 ふくろをかける
9月 ビニルをはずす 取り入れ,しゅっか
10月 しょうどくをする ビニルをはずす
11月 ひりょうをやる しょうどくをする
12月 えだをせんていする ひりょうをやる

なえを植えてから,実がなる木に育つまでに4年ほどかかります。

大きくて形のよいふさにするために,実が小さいとき,摘果(てっか)(ふさづくり)をします。

ぶどう作りのひみつ

よいぶどうをつくるために,いろいろな工夫をしています。

ジベレリン

たねなしぶどうにするために,ジベレリンという「ホルモンざい」に1ふさずつつけます。
ジベレリンは,はじめは白い粉です。これを井戸水にとかして容器に入れ,1ふさずつ順番につけます。
薬をつけ終わったかどうかわかるように,すんだふさの一部をおってめじるしにしておきます。
スピードスプレーヤー

虫がついたり,病気になったりしないよう,薬をまくきかいです。大型のきかいで,広い畑での作業がらくにできるようになりました。
スプリンクラー

夏,雨のふらない日が長くつづくと,木がかれます。水をやるためにとりつけられています。この水は,八日谷貯水池から大きな水道管で送られてきています。
あんきょ(はい水路)

ぶどうは,水はけがよい土地でよく育ちます。地下に,はい水路を通し,ふった雨水がすぐ流れるようにしています。
ふくろかけ

ぶどうの実には,白い粉がついています。ぶどうの実を守ったり,ちょくせつ日光が当たらないようにふくろをかけます。ふくろは,ぶどうの品種によってちがいます。
ぶどうのたび

7月の中ごろからハウスのぶどうがみのりはじめ,ろ地のぶどうがみのり終わる10月のはじめごろまで,しゅうかくされたぶどうは,しゅるいべつに,同じ大きさやあまさのぶどうごとに箱づめされて,JAの選果場に運ばれます。

選果場では,ぶどうの箱を開けて1箱ずつ品質をたしかめ,「赤秀」「青秀」「優」「並」などの等級別にスタンプをおしています。
ローラーで自動てきに運ばれた箱は,3箱ずつひもをかけて荷づくりされます。
トラックで,福山,尾道,三原,広島,福岡,神戸,大阪,京都などに運ばれていきます。
選果場の前でぶどうを売っています。福山や尾道などから買いに来ている人もいます。また,宅配便で送られるぶどうもあります。